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牟婁の湯

(むろのゆ)

白浜温泉の歴史と名湯を味わう外湯

「牟婁の湯」は、和歌山県白浜町の湯崎温泉街にある、白浜温泉を代表する共同浴場です。古くから親しまれてきた外湯のひとつであり、同じく有名な「崎の湯」と並び、多くの観光客や温泉ファンに愛され続けています。

白浜温泉は、道後温泉や有馬温泉とともに「日本三古湯」に数えられる歴史ある温泉地です。古代には「牟呂の湯」と呼ばれ、『日本書紀』や『万葉集』にも登場するほど由緒ある湯として知られていました。皇族や貴族たちもこの地を訪れ、豊かな湯に癒されたと伝えられています。

その白浜温泉の中心地・湯崎温泉街に建つ「牟婁の湯」は、歴史と温泉文化を身近に感じることができる魅力的な外湯です。

2種類の源泉を同時に楽しめる贅沢な温泉

牟婁の湯の最大の特徴は、異なる2種類の源泉を一度に楽しめることです。浴場には大きな湯船が2つあり、それぞれ異なる泉質のお湯がかけ流しで注がれています。

ひとつは、地元でも有名な「砿湯(まぶゆ)源泉」、もうひとつは、崎の湯にも使われている「行幸(みゆき)源泉」です。同じ白浜温泉でも、それぞれ湯の個性が異なるため、入り比べを楽しめるのが大きな魅力となっています。

砿湯(まぶゆ)源泉 ― 力強さを感じる白浜の代表湯

砿湯源泉は、湯崎温泉街に湧く白浜を代表する源泉のひとつです。泉質は含硫黄ナトリウム−塩化物強塩温泉で、約74度という高温の源泉が毎分190リットルも湧き出しています。

ほんのりと漂う硫黄の香りと、塩分を豊富に含んだ濃厚なお湯が特徴で、身体を芯から温めてくれます。入浴後も長時間ぽかぽかとした温かさが続き、寒い季節には特にその効果を実感できます。

また、ミネラル成分が豊富で湯の花が出やすいことでも知られ、温泉らしい風情を楽しめます。冷え性や皮膚トラブル、切り傷などに良いとされ、多くの人々に親しまれています。

行幸源泉 ― 皇室ゆかりのやさしい湯

もう一方の行幸源泉は、「崎の湯」と同じ源泉を利用しています。白浜温泉の中でも最古級とされる歴史ある源泉で、古代には天皇も入湯したと伝えられています。

泉質はナトリウム−塩化物・炭酸水素塩温泉で、無色透明のやわらかな湯ざわりが特徴です。弱アルカリ性のお湯は肌をなめらかに整え、入浴後にはしっとりとした感触を楽しめます。

神経痛や関節痛、慢性皮膚病、慢性婦人病などへの効能が期待されており、やさしく身体を包み込むような湯として人気があります。

歴史を感じる湯崎温泉街の風景

牟婁の湯は、旅館やホテルが並ぶ湯崎温泉街の中でもひときわ存在感のある建物です。どこか懐かしさを感じる外観は、昔ながらの温泉情緒を色濃く残しています。

周辺には「崎の湯」や「行幸源泉」など、白浜温泉の歴史を感じられるスポットも点在しており、温泉巡りをしながら散策するのもおすすめです。

湯煙が立ち上る温泉街には硫黄の香りが漂い、歩いているだけでも温泉地ならではの雰囲気を味わうことができます。

湯崎隧道と白浜温泉の歴史

牟婁の湯の東隣には、昭和10年に完成した「湯崎隧道」があります。このトンネルは、白良浜地区と湯崎地区を結ぶ重要な役割を果たしました。

大正から昭和初期にかけて、白良浜周辺では新たな温泉開発が進み、観光地として大きく発展していきました。一方、古くからの温泉地であった湯崎地区とは山で隔てられていたため、両地区の交流はあまり盛んではなかったといわれています。

しかし、この湯崎隧道の完成によって両地区が結ばれ、白浜温泉全体がひとつの温泉地として発展していくきっかけとなりました。

現在でも石積みのポータルや趣あるトンネルの姿が残されており、白浜温泉の近代史を感じさせるスポットとなっています。

温泉好きにおすすめしたい白浜の名湯

牟婁の湯は、ただ温泉に入るだけでなく、白浜温泉が歩んできた長い歴史や文化を感じることができる特別な場所です。

異なる2種類の源泉を一度に楽しめる贅沢さ、古代から受け継がれてきた名湯の魅力、そして温泉街の情緒あふれる風景。どれを取っても、白浜観光には欠かせない存在といえるでしょう。

白浜を訪れた際には、ぜひ牟婁の湯に立ち寄り、歴史ある温泉にゆっくりと浸かりながら、心と身体を癒してみてはいかがでしょうか。

牟婁の湯 基本情報

風呂の種類:かけ流し温泉(2種類の源泉)
泉質①:含硫黄ナトリウム塩化物強塩泉(砿湯)
泉質②:ナトリウム塩化物泉(行幸源泉)
効能:神経痛、関節痛、慢性皮膚病、冷え症、切り傷など

アクセス:
JR白浜駅よりバス約15分「湯崎」バス停下車、徒歩約2分。
紀勢自動車道「南紀白浜IC」より車で約15分。

Information

名称
牟婁の湯
(むろのゆ)

白浜・すさみ

和歌山県