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本覚寺(貝寺)

(ほんかくじ)

3万点の貝殻コレクション

和歌山県白浜町にある本覚寺は、浄土宗鎮西派知恩院末寺の寺院で、地元では「貝寺」の名で広く親しまれています。海辺の町・白浜らしい特色を持つ寺院として知られ、境内には全国的にも珍しい貝殻のコレクションが展示されています。

紀勢自動車道「南紀白浜IC」から車で約20分ほどの場所にあり、観光地・白良浜や円月島などからもアクセスしやすいため、多くの観光客や研究者、貝の愛好家が訪れる名所となっています。

「貝寺」と呼ばれる理由

本覚寺は古くから海と深い関わりを持ってきました。周辺の漁師たちが海で見つけた珍しい貝を寺へ寄進したことが始まりとされ、長い年月をかけて貝の収集が続けられてきました。

現在では、約1000種類・3万点以上もの貝殻を所蔵・展示しており、その規模は圧巻です。展示室には色鮮やかな貝や不思議な形をした貝、学術的にも珍しい種類の貝などが並び、まるで小さな自然博物館のような雰囲気を感じることができます。

昭和4年(1929年)には、白浜で発見された新種の貝が寺の名前にちなみ「ホンカクジヒガイ」と命名されました。本覚寺が貝の研究や保存において重要な存在であったことを物語っています。

歴史ある寺院と紀州藩との深い関わり

本覚寺の創建時期については諸説ありますが、過去帳によると寛永10年(1633年)に始まったと伝えられています。また、さらに古い応仁年間(1467~1469年)に創建されたという説も残されています。

もともとは白良浜近くの奥寺谷にあった真言宗の寺院で、元禄年間に現在地へ移され、その際に浄土宗へ改宗したとされています。

本覚寺は、徳川御三家の一つである紀州藩との結び付きが非常に深い寺院としても有名です。藩祖・徳川頼宣をはじめ、二代藩主光貞、さらには後に八代将軍となる徳川吉宗など、歴代藩主たちが何度も参拝したと伝えられています。

藩主へ珍しい貝を献上していたことでも知られ、寺には現在も歴代紀州藩主の位牌が祀られています。境内には徳川家ゆかりの品々も残されており、白浜の歴史と文化を感じることができます。

知恩院直轄寺院への昇格

天明元年(1781年)には、紀州藩の後押しによって、田辺龍泉寺の末寺から京都・知恩院直轄の寺院へ昇格しました。さらに紀州徳川家から葵紋入りの幕や提灯、仏具などが寄進され、本覚寺は格式高い寺院として発展していきました。

見どころ「貝の展示室」

本覚寺最大の魅力ともいえるのが「貝の展示室」です。展示室には世界各地のさまざまな貝が並び、訪れる人々を魅了しています。

「ミヤコドリガイ」や「カワアイガイ」など、美しい模様や独特の形を持つ貝を見ることができ、自然が生み出した芸術作品のような世界が広がります。貝に詳しくない方でも楽しめる展示内容となっており、子どもから大人まで人気があります。

また、入館料は「志納」となっており、自由に見学できる点も魅力です。静かな寺院の雰囲気の中で、ゆっくりと貝の世界に触れることができます。

「ましらら媛伝説」とホンカクジヒガイ

本覚寺には、白浜に伝わる悲恋物語「ましらら媛伝説」にまつわる展示もあります。

昔、真白良媛(ましららひめ)という美しい娘が白浜の海辺で暮らしていました。ある日、都から訪れた若者と出会い、二人は恋に落ちます。しかし若者は都へ帰らなければならず、再会を誓って一対の貝を交換しました。

ところが、その若者は悲劇の皇子として知られる有間皇子であり、都へ戻った後に命を落としてしまいます。真白良媛はその事実を知らないまま、海辺で彼を待ち続けたといわれています。

後に海岸で発見された美しい一対の貝が「ホンカクジヒガイ」とされ、二人の変わらぬ愛の象徴として本覚寺に展示されています。

白浜の湯崎浜広場には、ホンカクジヒガイを抱いた「真白良媛像」も建てられており、万葉ロマンを感じさせるスポットとして人気があります。

文学や信仰とのつながり

本覚寺には、多くの文化人や俳人も訪れています。正岡子規の高弟として知られる俳人・松瀬青々もその一人です。

白浜を訪れた際、本覚寺に立ち寄り、

「貝をみて あとは桔梗を 眺めけり」

という句を残しました。境内には句碑も建てられており、静かな寺の雰囲気の中で文学の香りを感じることができます。

また、江戸時代中期の名僧として知られる徳本上人の名号碑も残されており、信仰の歴史を今に伝えています。

白浜観光とあわせて訪れたい名所

本覚寺の周辺には、白良浜や円月島、フィッシャーマンズ・ワーフ白浜など人気観光地が点在しています。特にフィッシャーマンズ・ワーフ白浜では、新鮮な海鮮料理やお土産探しを楽しむことができ、白浜観光の拠点としても人気があります。

海と歴史、文化が調和した本覚寺は、単なる寺院ではなく、白浜の自然や伝説、人々の暮らしを感じられる特別な場所です。観光で白浜を訪れた際には、ぜひ足を運び、静かな境内でゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
本覚寺(貝寺)
(ほんかくじ)

白浜・すさみ

和歌山県