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忘帰洞

(ぼうきどう)

太平洋の絶景と大自然が生み出した奇跡の洞窟温泉

和歌山県那智勝浦町の名湯として全国的に知られる南紀勝浦温泉。その中でも特に有名な温泉が、ホテル浦島にある天然洞窟温泉「忘帰洞」です。

忘帰洞は、熊野灘の荒々しい波と風によって長い年月をかけて形成された天然の洞窟の中に湧き出す温泉であり、日本でも屈指のスケールを誇る洞窟風呂として知られています。訪れた人々は、目の前に広がる雄大な太平洋と迫力ある岩肌、そして洞窟内に響く波音に包まれながら、特別な温泉体験を味わうことができます。

紀州藩主が名付けた「帰るのを忘れる湯」

忘帰洞という名前は、大正時代にこの地を訪れた紀州徳川家第15代当主の徳川頼倫(とくがわ よりみち)公に由来すると伝えられています。

頼倫公はこの温泉に浸かりながら眼前に広がる絶景を眺め、その心地よさに深く感動しました。そして、

「帰るのを忘れるほど素晴らしい温泉である」

と賞賛したことから、「忘帰洞」という名が付けられたといわれています。

現在でもその名の通り、一度入浴すると時間を忘れてしまうほどの魅力を持つ温泉として、多くの観光客を惹きつけています。

大自然が創り上げた巨大な天然洞窟

忘帰洞は人工的に造られた浴場ではありません。ホテル浦島が建つ狼煙半島一帯は、かつて海底だった地層が地殻変動によって隆起して形成された場所です。

その後、熊野灘から押し寄せる荒波が岩盤を削り続けた結果、現在の壮大な洞窟が誕生しました。

洞窟の規模は、

にも及びます。

洞窟の中へ足を踏み入れると、巨大な岩壁が迫り、自然の力の偉大さを肌で感じることができます。温泉に浸かりながら見上げる天井や岩肌は圧巻で、まるで太古の時代へ迷い込んだかのような感覚を味わえます。

洞窟の中から眺める太平洋の絶景

忘帰洞最大の魅力は、洞窟の中から望む雄大な太平洋の景色です。

洞窟の開口部からは熊野灘が広がり、目の前には果てしなく続く水平線が見渡せます。特に早朝の日の出は格別で、海面を黄金色に染めながら昇る朝日は、多くの人々の心を魅了してきました。

また、夕暮れ時には海と空が茜色に染まり、夜になると月明かりが海面に反射して幻想的な景色を演出します。

さらに、岩場へ激しく打ち寄せる波しぶきや洞窟内に響く波音は、まさに自然そのものの迫力を感じさせてくれます。

温泉に浸かりながらこれほど壮大な海景色を楽しめる場所は全国的にも非常に珍しく、忘帰洞ならではの魅力となっています。

熊野詣の歴史とともに歩んだ名湯

忘帰洞を含む南紀勝浦温泉の歴史は非常に古く、平安時代の熊野詣の時代までさかのぼります。

当時、京都から熊野三山を目指して長い旅を続けた貴族や皇族たちは、この地の温泉で旅の疲れを癒したと伝えられています。

熊野詣は「蟻の熊野詣」と呼ばれるほど盛んで、多くの人々が熊野を訪れました。その道中で温泉は重要な休息の場となり、心身を清める湯垢離(ゆごり)の場所としても利用されていました。

忘帰洞の神秘的な空間は、当時の人々にとっても特別な癒やしの場所だったことでしょう。

良質な温泉がもたらす癒やし

忘帰洞の温泉は、硫黄成分と塩分を豊富に含む良質な湯として知られています。

青白く濁った湯は独特の硫黄の香りが漂い、温泉らしい風情を感じさせます。肌触りはなめらかで、入浴後には体の芯から温まる感覚を味わえます。

また、海辺の温泉らしく塩分を含むため保温効果にも優れており、湯上がり後も温かさが長く続くのが特徴です。

波音を聞きながらゆっくりと湯に浸かる時間は、日常の忙しさを忘れさせてくれる贅沢なひとときとなるでしょう。

ホテル浦島で楽しむ温泉めぐり

忘帰洞があるホテル浦島は、日本有数の大型温泉リゾートとしても知られています。

館内には忘帰洞以外にもさまざまな温泉施設があり、温泉めぐりを楽しむことができます。

玄武洞

忘帰洞と並ぶ天然洞窟温泉で、洞窟内に響く波音と自然の岩肌が印象的な温泉です。大自然の神秘を身近に感じながら入浴できます。

滝の湯

天然の岩肌を流れる滝の音を聞きながら入浴できる風情豊かな温泉です。那智の滝を思わせる雰囲気が魅力です。

ハマユウの湯

南紀の海辺に咲くハマユウの花にちなんで名付けられた温泉で、ゆったりとした空間の中でくつろぐことができます。

遙峰の湯

高台に位置し、那智山や勝浦湾、勝浦の町並みを一望できる展望温泉です。夕暮れや夜景も美しく、多くの宿泊客に人気があります。

送迎船で味わう浦島太郎気分

ホテル浦島の魅力は温泉だけではありません。

ホテルへは勝浦港から専用の送迎船で向かうことができ、まるで浦島太郎になったような気分を味わえます。

船上から眺める勝浦湾や紀の松島の景色も素晴らしく、ホテルへ向かう時間そのものが観光の一部となっています。

さらに館内には高低差約77メートルを結ぶ長大なエスカレーター「スペースウォーカー」や展望台、自然豊かな遊歩道なども整備されており、一日では回りきれないほどの見どころがあります。

南紀勝浦を代表する名勝温泉

忘帰洞は、温泉そのものの魅力はもちろん、太平洋の絶景、熊野の歴史、大自然が生み出した洞窟美を一度に体験できる特別な場所です。

南紀勝浦温泉を訪れるなら、ぜひ一度は足を運びたい名所といえるでしょう。

洞窟の中で波音に耳を傾けながら温泉に浸かり、水平線の彼方へ沈む夕日や昇る朝日を眺める時間は、忘帰洞ならではのかけがえのない体験です。まさにその名の通り、「帰るのを忘れるほど心地よい温泉」として、多くの旅人の心に深く刻まれ続けています。

Information

名称
忘帰洞
(ぼうきどう)

那智勝浦・新宮・本宮

和歌山県