和歌山県 > 那智勝浦・新宮・本宮 > きよもんの湯
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の静かな温泉地・湯川温泉にある「きよもんの湯」は、古くから熊野の人々や旅人たちに親しまれてきた歴史ある日帰り温泉施設です。かつて名門温泉旅館「喜代門屋」があったことに由来し、その伝統と風情を受け継ぎながら、多くの温泉ファンを魅了しています。
豊かな自然に囲まれた湯川温泉は、約1500年前に発見されたと伝えられる熊野地方でも屈指の古湯です。熊野詣の巡礼者たちが旅の疲れを癒し、身を清める「湯垢離場(ゆごりば)」として利用した歴史を持ち、今もなお源泉の恵みをそのまま味わうことができます。
きよもんの湯の魅力の一つは、落ち着いた純和風の建物です。館内に足を踏み入れると、木のぬくもりと和の情緒に包まれ、日常の喧騒を忘れさせてくれます。
浴場には石材をふんだんに使用した内湯が設けられており、重厚感と温かみを兼ね備えた空間が広がっています。大浴場のほか、家族や友人同士でゆっくり利用できる貸切風呂もあり、周囲を気にせず温泉を楽しむことができます。
温泉の後には、ゆかし潟を望む湯上がり処でのんびり過ごすことができます。静かな湖面と緑豊かな景色を眺めながら過ごす時間は、まさに癒やしのひとときです。
きよもんの湯の最大の魅力は、なんといっても源泉100%かけ流しの温泉です。湯口からは絶え間なく新鮮な温泉が注がれ続け、浴槽からあふれ出しています。
加水や循環を極力行わない天然温泉ならではの鮮度の高さが特徴で、湯船に身を沈めるとやわらかな肌触りを感じることができます。ほのかに漂う硫黄の香りは、古くから温泉地として親しまれてきた歴史を感じさせてくれます。
泉質はアルカリ性単純温泉や単純硫黄泉系統のやさしい湯質で、身体への刺激が少なく、子どもから高齢者まで幅広い世代に親しまれています。
温泉は古くから湯治場として利用されてきました。一般的に、筋肉痛や関節痛、五十肩、打ち身、冷え性、疲労回復などに良いとされ、多くの人々が心身のリフレッシュを目的に訪れています。
ゆっくりと湯に浸かることで身体が芯から温まり、湯上がり後もぽかぽかとした心地よい温もりが続きます。
湯川温泉の歴史は非常に古く、その起源は約1500年前にさかのぼると伝えられています。伝説によれば、伊勢から訪れた二人の老人が地域の人々の親切に感謝し、榊の枝で地面をなでたところ温泉が湧き出し、さらに薬師如来の石像が現れたとされています。
その後、熊野三山への参詣者が身を清めるための温泉として発展し、多くの巡礼者がこの地を訪れました。長い歴史の中で、多くの人々の疲れを癒やし続けてきた名湯なのです。
きよもんの湯の近くには、熊野七薬師の一つとして知られる湯泉寺があります。
伝承によると、弘法大師空海がこの地を訪れた際、温泉の薬効に感銘を受けて薬師堂を建立し、「瑠璃光山湯泉寺」と名付けたといわれています。
寺には病気平癒を願う人々が参拝し、快復した後に杖を奉納する風習も伝えられています。温泉と信仰が深く結びついた熊野らしい歴史を感じることができる場所です。
きよもんの湯の前に広がるゆかし潟は、湯川温泉を代表する景勝地です。周囲約2.2キロメートルの小さな汽水湖で、淡水と海水が混ざり合う独特の自然環境を持っています。
この美しい湖の名前は、那智勝浦町出身の詩人・佐藤春夫によって名付けられました。春には桜が咲き誇り、冬には多くの水鳥が飛来するなど、四季折々の風景が訪れる人々を魅了しています。
湖面に映る山々や空の景色は非常に美しく、朝夕には幻想的な雰囲気に包まれます。温泉入浴後に湖畔を散策すれば、心まで穏やかになるような時間を過ごせるでしょう。
きよもんの湯周辺は、かつて熊野古道の大辺路街道が通っていた地域です。現在もその面影を感じられる道が残されており、歴史散策を楽しむことができます。
熊野古道は世界遺産にも登録されている巡礼路であり、多くの旅人が歩いた歴史の道です。温泉で疲れを癒やした後に古道周辺を散策すると、熊野信仰の歴史や文化をより深く感じることができます。
湯川温泉周辺には、ゆりのやま温泉や四季の郷温泉など個性豊かな温泉施設があります。また、那智勝浦町内には南紀勝浦温泉や紀の松島、熊野那智大社、那智の滝などの名所が点在しており、観光の拠点としても最適です。
特に熊野三山巡りや熊野古道散策と組み合わせることで、自然・歴史・信仰・温泉を一度に楽しむことができます。
きよもんの湯は、約1500年の歴史を持つ湯川温泉の魅力を気軽に体験できる日帰り温泉施設です。源泉かけ流しの豊かな湯、ゆかし潟の美しい景観、熊野古道や湯泉寺に代表される歴史文化など、多くの魅力が詰まっています。
熊野の自然と歴史に包まれながら、心と身体をゆったりと癒やすことができるきよもんの湯。那智勝浦を訪れた際には、ぜひ立ち寄りたい温泉スポットの一つです。