「せちごうて!」から誕生した料理
せち焼き誕生のきっかけは、御坊弁の「せちがう」という言葉にあります。「せちがう」とは、「無茶苦茶にする」や「混ぜ合わせる」といった意味を持つ方言です。
1960年頃、御坊市でお好み焼き店を営んでいた「せち焼きの店 やました」の初代店主・山下夏子さんが、お客さんから「焼きそばを卵でせちごうてくれ」と注文されたことが始まりとされています。
当時、どのように作ればよいのか試行錯誤した末、焼きそばを溶き卵で包み込み、お好み焼きのように焼き上げる現在の形が誕生しました。その独特の美味しさが評判となり、やがて御坊市を代表する名物料理へと発展していったのです。
せち焼きの特徴
せち焼きには、キャベツや豚肉、魚介類など具材たっぷりの焼きそばが使われます。鉄板で香ばしく炒めた焼きそばの上から卵を流し込み、全体を混ぜながら焼き固めていきます。
仕上げには、お好み焼きと同じようにソースやマヨネーズ、鰹節、青のりなどをかけていただきます。しかし、小麦粉を使わないため、お好み焼きとはまったく異なる軽やかな食感を楽しめるのが魅力です。
外側はこんがり香ばしく、中は卵のふんわり感と焼きそばのもちもち感が広がります。また、鉄板の熱によって食べ進めるうちに卵にさらに火が通り、半熟の柔らかさからしっかりとした食感へ変化していく点も、せち焼きならではの楽しみです。
御坊市で味わうご当地グルメ
現在では、御坊市内の飲食店でせち焼きを提供する店も増え、観光客にも人気のご当地グルメとなっています。地元の人々にとっては、子どもの頃から慣れ親しんだ懐かしい味でもあり、世代を超えて愛されています。
シンプルながらも奥深い味わいを持つせち焼きは、御坊市の食文化を象徴する存在です。御坊を訪れた際には、ぜひ本場のせち焼きを味わい、地元ならではの温かい食文化に触れてみてはいかがでしょうか。