“本ノ字饅頭”は、表面に「本」という文字が焼き記された酒まんじゅうのこと。江戸時代、歴代の紀州藩主が参勤交代に赴く際の携帯食として重宝したといわれている歴史ある饅頭。現在も約300年前から変わらない伝統製法で作られており、酒種となる甘酒を小麦粉と混ぜて発酵させ、あんを包んで一旦寝かせてから蒸篭(せいろ)で蒸される。麹は動かすだけでも味が変化するという繊細なものなため、作業は麹がすみついている本店でしか行わないのもこだわりだ。こうして出来上がった本ノ字饅頭は、シンプルながらも奥深く、豊かな風味を味わえる。