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嶽ノ森山

(だけのもりやま)

古座川を見下ろす絶景の双耳峰

和歌山県東牟婁郡古座川町にそびえる「嶽ノ森山」は、雄岳(376m)と雌岳(369m)という2つの峰を持つ、美しい双耳峰の山です。国指定天然記念物「古座川の一枚岩」の対岸に位置し、古座川流域を代表する人気のトレッキングスポットとして知られています。

山全体が独特の岩峰によって構成されており、険しく荒々しい山容を見せながらも、標高は比較的低く、登山初心者から中級者まで幅広い登山者が楽しめる山となっています。山頂からは古座川の渓谷美や南紀の山々、さらには太平洋まで見渡せる壮大なパノラマが広がり、訪れる人々を魅了しています。

関西百名山にも選ばれた人気の山

嶽ノ森山は、山と渓谷社が選定する「関西百名山」のひとつに数えられており、近年ではトレッカーや自然愛好家の間で高い人気を集めています。

古座川峡に面した岩峰には、天柱岩や飯盛岩、かもしか峡などの奇岩・奇峰が点在しており、まさに大自然が創り出した天然の芸術空間といえるでしょう。江戸時代末期の儒学者・斉藤拙堂は、この山を「滴翠峰(てきすいほう)」と名付け、その美しい景観を称えたと伝えられています。

約1500万年前の火山活動が生んだ絶景

嶽ノ森山は、約1500万年前に発生した南紀熊野地域の大規模な火山活動によって形成されました。一帯には「古座川弧状岩脈」と呼ばれる地質構造が広がっており、一枚岩や天柱岩などと同じ流紋岩質火砕岩によって形成されています。

地元では「宇津木石」とも呼ばれるこの岩石は、長い年月をかけて風化や浸食を受け、現在のような独特の岩峰や奇岩群を生み出しました。険しい岩肌や急峻な尾根道など、低山とは思えない迫力ある景観を楽しむことができます。

雄岳と雌岳が織りなす双耳峰の美しさ

嶽ノ森山の特徴は、何と言っても雄岳(上ノ峰)と雌岳(下ノ峰)からなる双耳峰の姿です。

標高376mの雄岳は山頂からの展望が素晴らしく、古座川や一枚岩、周辺の山並みを一望できます。一方、雌岳はやや鋭い岩峰となっており、山頂下の熊野花崗斑岩の岩場は、雄岳側から眺めると巨大な人の横顔のように見えることから、地元では「巌のジャイアント」とも呼ばれています。

険しい岩峰が並ぶ姿は非常に印象的で、古座川流域を代表する景観のひとつとなっています。

嶽ノ森山トレッキングコースの魅力

嶽ノ森山の登山ルートは、自然の変化に富み、見どころが非常に多いことで知られています。道中では奇岩や渓流、希少植物などを観察でき、歩くたびに新たな発見があります。

登山口からナメトコ岩へ

登山は「道の駅一枚岩 monolith」付近からスタートします。道の駅から北西へ進むと、一枚岩トンネルの手前に登山口があります。

登山道を進むと、やがて現れるのが「ナメトコ岩」です。

ナメトコ岩は、一枚岩と同じ岩質で形成された巨大な岩盤で、長い年月をかけて水に削られたことで、まるで川の流れ道のような滑らかな地形となっています。

岩肌には昔に刻まれたとされる足場状のステップも残されており、自然と人の歴史が融合した不思議な景観を楽しめます。

尾根道と露岩の迫力

ナメトコ岩を抜けると、登山道は次第に急勾配となり、尾根道へと入っていきます。

途中には「変則十字路」と呼ばれる分岐点があり、そこから嶽ノ森山山頂を目指します。さらに進むと、ロープ付きの露岩地帯が現れます。

ここでは岩場をよじ登る場面もあり、軽いアスレチックのような感覚で登山を楽しめます。険しい岩場を越えた先に広がる景色は格別です。

山頂からの360度パノラマ

雄岳の山頂に到着すると、眼下には古座川と一枚岩の壮大な景色が広がります。

さらに遠方には、大塔山や法師山、那智連山、太平洋まで見渡すことができ、天気の良い日には360度の大パノラマを堪能できます。

南紀らしい深い山並みと清流が織りなす風景は、訪れる人の心を癒やしてくれるでしょう。

下ノ峰と豆腐岩コース

雄岳から尾根を進むと、もうひとつの峰である雌岳(下ノ峰)へ到着します。

この峰も岩山特有の迫力があり、双耳峰ならではの景観を楽しめます。

その後は「豆腐岩コース」を利用して下山します。

豆腐岩

下山途中に現れる「豆腐岩」は、まるで巨大な豆腐を積み重ねたように見える不思議な岩です。

規則的に割れた岩肌が特徴で、自然が作り出したとは思えない独特の造形美を楽しめます。嶽ノ森山を代表する奇岩のひとつとして、多くの登山者に親しまれています。

希少植物と豊かな自然環境

嶽ノ森山周辺は、地質学的価値だけでなく、生物学的にも非常に貴重な地域です。

特に紀伊半島南部にのみ自生する希少植物「キイジョウロウホトトギス」は有名で、秋には美しい黄色の花を咲かせます。

また、周辺にはケヤキ、モミ、ツガ、トガサワラ、ヒノキなどが混生する貴重な自然林が広がっており、古座川県立自然公園の特別指定地にもなっています。

昆虫類も豊富で、古座川支流では世界最小クラスといわれる「ハッチョウトンボ」が確認されるなど、自然環境の豊かさが保たれています。

古座川県立自然公園の魅力

嶽ノ森山を含む古座川流域は、「古座川県立自然公園」として保護されています。

一枚岩、天柱岩、滝の拝など、和歌山県を代表する奇岩や渓谷景観が点在し、訪れる人々を魅了しています。

春には桜、新緑の季節には鮮やかな緑、秋には紅葉が山々を彩り、季節ごとに異なる絶景を楽しむことができます。

おすすめシーズン

春(3月下旬〜4月)

桜が咲き始め、古座川流域が華やかな景色に包まれます。

新緑(4月中旬〜5月中旬)

山全体が鮮やかな緑に覆われ、爽やかなトレッキングを楽しめます。

紅葉(11月中旬〜12月上旬)

赤や黄色に色づいた山々と奇岩群のコントラストが美しく、多くの登山者が訪れます。

アクセス情報

嶽ノ森山へは、古座川町コミュニティバス「ふるさとバス本川線」の「一枚岩」バス停から登山口まで徒歩約15分です。

車の場合は「道の駅一枚岩 monolith」の駐車場を利用できるため、一枚岩観光とあわせて訪れるのがおすすめです。

自然と絶景を満喫できる古座川の名峰

嶽ノ森山は、低山ながら迫力ある岩峰、奇岩群、希少植物、そして壮大なパノラマ展望を楽しめる魅力あふれる山です。

約1500万年前の火山活動が生み出したダイナミックな地形は、まさに大自然の芸術作品といえるでしょう。

一枚岩や古座川峡の絶景を眺めながら歩くトレッキングコースは、登山初心者から経験者まで幅広く楽しめます。

和歌山県南部を訪れる際には、ぜひ嶽ノ森山へ足を運び、古座川の雄大な自然と神秘的な景観を体感してみてください。

Information

名称
嶽ノ森山
(だけのもりやま)

串本・古座川

和歌山県